本「明け方の夢」シドニィ・シェルダン作、息詰まるサスペンス


「明け方の夢」著者 シドニィ・シェルダン
★★★☆☆(個人評価 ★多めならおすすめ)
コンスタンティン・デミリスは手段を選ばないことで富と名声を手に入れた。
名家出の美しい妻を省みず他に愛人を持つ事も当たり前の非道な男だった。
デミリスが入れ込んだ愛人ノエルが、パイロットと浮気、激怒したデミリスは彼らを殺人の容疑で死刑へと追い込む。
別れようとしなパイロットの妻を殺した容疑で二人は銃殺されるが、実はパイロットの妻キャサリンは死んではいなかった。
記憶を失くし、デミリスが修道院に隠していたのだ。
無実の罪で殺された二人、すべてデミリスの怒りをかったことが原因だった。
真実を知る関係者を次々と葬り去るデミリス、そしてその魔の手は最後の生きる証人キャサリンへと向かう。
アカデミー出版の超訳というのにハマった時期があって、というよりシドニィ・シェルダンにハマったと言った方がいいかな。
ゲームの達人でなんて面白いんだろうと、次々読んだ。
これもその頃の本。
久しぶりに読み返したけど、やっぱり面白い。
ただ…。
あのころはこの超訳というものが、すごく読みやすいと感じたんだけれど、今読むと浅いというか軽いというか、あまり感動を呼び起こさない訳し方だなぁと。
なんていうか、ぶつぶつ途切れる感じというかね。
一つ一つのセンテンスが短いので読みやすいけど、人物の心情が深く伝わってこない。
以前はこれが良かったんだけどなぁ、今読むと物足らない気がしてくる。
シドニィ・シェルダンのストーリーは明快さがあるから、これで合ってるのかもしれんけど。
私の大好きなスティーブン・キングだと絶対彼の良さが壊されてしまうだろうなぁと思う。
まぁ超訳に関してはこれくらいで。
ストーリー的には以前のお話(ゲームの達人)とかに比べると、主人公への応援しがいがないというか。
キャサリンがヒロインなんだけど、案外惚れやすいし、すぐ寝るし、最初、夫から別れを言いだされたのにごねて別れないと言いだしたから殺されそうになるわけでね。
デミリスが彼女を修道院にかくまってはいたけど、外に出して自由にすることも解せない。
彼女が生きていては困るわけだし、親切にして就職までさせる意味がわからないわ。
愛していたノエルの裏切り(パイロットと恋人になった)に激怒したデミリスの復讐だとか言い訳してたけど、パイロットは死んでるんだし、誰に対しての復讐なのかわからんし。
つまりちょっと中身に納得いかない感じがあるし、シェルダンの魅力は窮地に陥った、あるいはどん底にいる主人公がその叡智でのし上がったり、危険を脱したり、そういうのが面白いのに、今回はあまりそういうのがなかった。
せいぜい、死んだはずの弁護士が生きてたとか、親切にしてあげた少年が実は殺し屋だったとか、そういう意外性はあったにしても、伏線の貼り方が下手すぎて「おお!そうなのか!」とは思えなかったんよね。
伏線をあちこちに張り巡らせて最後に回収するのが読んでて爽快なのに、それがなかった。
残念。
それでもストーリー的にはハッピーエンドやし、そないどんでん返しはないけど、まぁまぁどうなるのかな?程度には興味を持って読み進められるかな。
でもやっぱり初期の作品ほど心躍らせてはくれないわ。
もうシドニィ・シェルダンの作品は読まないだろうなぁ。
たぶん。
ほんっとにゲームの達人は面白かったもん。
みんなにすすめたい。
今回のはまぁあまりおすすめの部類ではないかもしれない。

にゃんかめちゃエラそうに言ってるにゃ…
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