本「断絶」★★☆☆☆世界が終わるとき生き残った人々は…

本「断絶」 著者 リン・マー

★★☆☆☆ (個人評価 ★多めならおすすめ)

中国から端を発した「シェン熱」。
感染力が高く発症すると致死率は100%。
治療法がないまま人類は死に絶えていく。
誰もいなくなったニューヨークで一人生き残った女性、キャンディス。
中国からの移民でそして妊娠していた。
彼女はしばらくNYで一人暮らしていたが、脱出する際に他の生存者たちと出会う。
彼らは安全な施設を目指し旅をしていた。

断絶 (エクス・リブリス) - リン・マー, 藤井 光
断絶 (エクス・リブリス) - リン・マー, 藤井 光


設定がまずわくわく。
シェン熱という中国発症の細菌症が蔓延し、人類がほぼ絶命状態になる。
キャンディスという中国移民の女性はなぜか一人ニューヨークで生き残る。
彼女は誰もいなくなったオフィスで一人仕事を続ける。
そしてとうとうニューヨークから脱出することにする。

人類がいなくなった現在と、過去を交互に語る。
そしてじわじわと感染が広がり、人がいなくなっていく様子も描かれる。
この病気になると、死んでいく過程でそれまでやっていた日常の行動を延々と繰り返すことになる。
例えば延々と食器を出しテーブルに並べそして食卓につく…といったような。
攻撃的ではなく、害はない患者たち。
今までのゾンビとは全然違う。

感染していないキャンディスは、誰もいなくなったオフィスに通勤し続ける。
当然仕事はすでになくなっている。
どこからも発注はなく指示もなく電話もメールもかかってはこない。
でも生きているキャンディスと感染者の間に違いがあるのだろうか…。
習慣に従い、同じ日常を延々と送る。
そのような問いかけを作者は読者に投げかけている…たぶん。知らんけど。

アメリカの資本主義を皮肉り、生きるために働くという行為、一体何のために生きているのか、働いているのか…普段考えないようにしている問いを作者は突き付けてくる。

これはゾンビ小説というか、世界終末小説。
感染を生き延びた主人公。
なぜ感染しないのかは説明されない。
おそらく抗体がある人間がいる…ということだろうけど、それにしてもその数は圧倒的に少ない。
キャンディスが拾われた生存者グループも数人いるのみ。
彼らが抗体を持っているわけでもないことは、旅の途中で判明する。
ただ、この小説で、なぜ彼らが数人生き延びられたのか…はあまり意味のないことではある。

大勢の中の一人、数人の小さなグループの中の一人、どちらも自分のアイデンティティーを確立することは難しい。
生存者グループにも皆を束ねるボスがいて、結局キャンディスはこのグループから抜けたいと願う。

誰もいない都市。ものすごく怖いけど、自由を感じたりはしないのだろうか。
キャンディスは人がいなくなっていく都市で以前と同じような生活を続けようとする。
それは仕事に対する責任感…というものではない。
そうするしかないから…という感じだろうか。
彼女の人間関係は薄い。
付き合っていた彼氏は、パンデミックが起こる前に違う都市へと引っ越していった。
社内でも友達と言える仲間はいない。
彼女は常に孤独を見つめている。

過去と現在が交互に語られることで、じょじょに明らかになっていく彼女の生い立ちや生活、そして人類を絶滅させようとしている感染症がいかにして人を減らしていったか。
淡々と語られるために恐怖感はない。
感染者の描写もそこまで多くはない。
彼女の感じる感情もあまり語られないために、感情移入しにくい気がする。
事実のみを述べる形で、彼女がどう思いどうしたいのか、は文中からはあまり読み取れなかった。

周囲に人がいてもいなくても、彼女は変わらないのではないか。
そんな気がする。
終末小説として面白かったけど、とにかく盛り上がりには欠ける展開ではある。
どきどきはらはらはラスト近く少しあるくらい。
パニック小説を期待して読むと裏切られるね。
もし、自分がたった一人生き残ったら…。
きっと頭がおかしくなるんじゃないやろか。
生き残った人を探しまわるんじゃないかな。
人は一人では生きていけないと思う。
この小説の主人公はそうでもなさそうだけど。
まぁお腹に子供がいるからな。たった一人で…というのと違うけど。

探し出した生存者と気が合うとは限らないよね。
それなら一人でいたほうがマシだった…と思うのかもしれないし。
それでもきっと私なら、探すんだろうな…。
ちょっと今まで読んできた終末小説とは毛色の違った小説でした。


ダウンイベントごとの商品紹介してます。見に来てねダウン
【ふるさと納税】ビール SORACHI1984 350ml × 24缶 上富良野町発祥! 伝説のホップ ソラチエース ソラチ sorachi ソラチ1984 サッポロビール サッポロ 地ビール お酒 酒 アルコール (有)リカーショップかまだ 北海道 上富良野町 - 北海道上富良野町
【ふるさと納税】ビール SORACHI1984 350ml × 24缶 上富良野町発祥! 伝説のホップ ソラチエース ソラチ sorachi ソラチ1984 サッポロビール サッポロ 地ビール お酒 酒 アルコール (有)リカーショップかまだ 北海道 上富良野町 - 北海道上富良野町


この記事へのコメント